復興庁は22日、今年の大阪・関西万博での展示の概要を発表した。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の被災地が復興しつつある姿を世界に発信するため、5月19日から24日までの6日間、EXPOメッセ会場に「震災伝承・災害対応」「食・水産」「最新技術」「福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)」の四つをテーマとした映像やパネルなどを設ける。来場者が「復興のストーリー」を追体験し、震災の記憶と学びを未来につなぐ。風化防止にも役立てる。
■映像やパネル 風化食い止め
復興庁の展示は約4千平方メートルあるEXPOメッセ会場の4分の1を占める。福島、岩手、宮城の3県の震災当時の状況や現在までの復興の過程を振り返る映像やパネルで震災の記憶を継承し、進む風化を食い止める。被災地の食や水産品の試食体験を提供。津波や原発事故に伴う風評の被害を乗り越えた生産者のなりわい再生や発展の姿を示し、各地の魅力を伝える。
■震災伝承・災害対応、食・水産、最新技術、エフレイ
震災を踏まえた災害対応やまちづくり、未来の防災・減災に貢献する被災地発の最新技術、創造的復興の中核拠点を目指すエフレイの研究内容など、より良い未来のために震災の教訓を生かす取り組みも紹介する。
4月13日から10月13日までの万博期間中、東ゲートゾーンには、デジタルモニュメント「成長する奇跡の一本松」を常設展示する。3・11や復興に関するメッセージが集まるほど、ディスプレーに映し出された一本松が明るく彩られる仕掛け。メッセージは「大阪・関西万博 復興ポータルサイト」内から投稿できる。
■PRアンバサダー荒川静香さん就任
22日は復興庁で万博に向けたキックオフイベントを催し、伊藤忠彦復興相は「復興庁の展示をきっかけとして、多くの方々に被災地に足を運んでもらいたい」と述べた。復興庁の万博企画を国内外に広めるため、2006(平成18)年トリノ冬季五輪フィギュアスケート女子シングルで金メダルを獲得した荒川静香さん(宮城県出身)を復興PRアンバサダーに任命した。