X メニュー
福島のニュース
国内外のニュース
スポーツ
特集連載
あぶくま抄・論説
気象・防災
エンタメ

避難住民の声を冊子に 福島大(福島市)1年生が取材や執筆 福島県南相馬市など4地域 「自分の言葉で」

2025.02.23 11:09
冊子を手に取り、生き様や温かさに触れてほしいと願う渡辺さん(左)と畠山さん

 福島大(福島市)の学生が東京電力福島第1原発事故に伴う避難を経験した地域へ通い、聞いた住民の声をまとめた冊子「学生が聞いた○○」が完成した。福島県南相馬市小高区、大熊町、川内村に今年度から飯舘村を加えた4地域で暮らす住民の生きざまや地域への思いを記録している。

 福島大のフィールドワーク科目「むらの大学」を受講した1年生約50人がグループに分かれ、インタビューから執筆、事実確認など一連の編集作業を担った。

 食農学類1年の畠山公さん(20)=岩手県花巻市出身=は飯舘村で無農薬栽培に取り組む男性を取材した。震災後の飯舘村でコミュニティー再生に取り組む姿から畠山さんは「人と人の温かさを感じたのと同時に震災が何をもたらしたのかに気付いた」と話す。

 冊子には男性の「自分で誇れるような考えを持つ人が増えれば自然と誇れる村になる」との言葉がある。畠山さんは「震災や復興とは何か、私たちはどうしていくのか、14年目を迎える今こそ自ら問い、考えていきたい」と力を込めた。

 食農学類1年の渡辺瑠奈さん(18)=いわき市出身=は原発の再稼働を巡る報道に触れ、衝撃を受けた。自分の町なのに何も知らない―。知識を付け、自らの言葉で話せるようになりたいと授業を受講した。

 農家レストランを再開させ、どぶろくづくりに取り組む女性のまっすぐで明るい生き方に触れた。渡辺さんは「福島をもっと知り、自分ができることを続けたい」と前を見据えた。

 冊子はダイジェスト版で地域に配布した。インタビュー全文は福島大の「地域×データ」実践教育推進室のホームページで随時公開している。