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【震災・原発事故14年】除染土処分「あと20年」 福島県の内堀雅雄知事に聞く 「取り組み加速を」危機感訴え

2025.03.07 10:35
県外最終処分などへの訴えを強めると語る内堀知事

 内堀雅雄知事は福島民報社のインタビューで、東京電力福島第1原発事故で発生した除染土壌の福島県外最終処分に「法定期限の2045年3月まで残された期間は20年しかない」と危機感を示し、県民や国民の目に見える形で取り組みを加速させるよう国に訴えた。4月に福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)と福島ロボットテストフィールドが統合するなど被災地の産業復興が転換期を迎えることから「エフレイと緊密に連携し、施設の発展と関連産業の振興に努める」と決意した。(聞き手・編集局長 角田守良)


 ―東日本大震災と原発事故の発生から間もなく14年を迎える。復興の現状と課題をどう認識しているか。

 「県産農林水産物の輸入規制撤廃や特定帰還居住区域の除染に加え県内への移住者や外国人宿泊者が過去最多になるなど、挑戦の成果が目に見える形で表れている。一方、避難地域の再生や廃炉・処理水対策の他にも復興の進展に伴う新たな課題やニーズが生じている。進捗(しんちょく)に応じ柔軟に対応する必要があると考える。県民をはじめ福島県に思いを寄せる人と力を合わせ、挑戦し続ける」

 ―国の復興事業の見直し議論が進んでいる。

 「昨年の行政事業レビューで被災自治体の財政負担導入などが議論された。市町村が強い懸念を示したことから県として福島の復興再生に最後まで責任を果たすよう国に強く求めた。緊張感を持って国と議論していくとともに被災地に丁寧に寄り添い、十分に財源確保するよう訴えていく」

 ―除染土壌の県外最終処分の期限まで残り20年となる。取り組みは道半ばで、被災地の首長からは土壌の県内再利用を呼びかける声も上がった。

 「県外最終処分は法律に定められた国の責務であり、必ず実現されなければならない。双葉町の伊沢史朗町長から強い危機感を聞いた。県外最終処分の確実な実施に向け、政府一丸となって取り組みを加速させるよう国に訴えていくことも共有した。国には、具体的な方針や工程を速やかに明示し県民や国民の目に見える形で進行管理することや、理解醸成のための施策をさらに推進するよう求めていく」

 ―福島第1原発の廃炉の着実な進展に向け国や東電に何を求め、県としてどのような役割を果たすか。

 「溶融核燃料(デブリ)の取り出しや使用済み燃料の運び出しなど、今後もリスクの高い困難な作業が長期間続く。現時点で原子炉内部の正確な状況が把握されず、デブリの一時保管、県外処分の在り方などが明確化されていないのが実情で、東電などは本格的なデブリ取り出しに向けた具体的な方策の検討をさらに進めなくてはならない。県として、楢葉町の駐在職員を大熊町に移すなど廃炉監視体制を強化する。引き続き国、東電の廃炉に向けた取り組みを確認していきたい」

 ―福島イノベーション・コースト構想の進展に向けた取り組みは。

 「構想をさらに推進するためには創業や重点6分野における開発や実用化、企業誘致から進出企業の定着までの支援、人材育成や交流人口の拡大などの取り組みが重要となる。浜通りの再生を目指して今後、産業発展の青写真を改定し、国、市町村、関係機関とともに総力を挙げて前へと進める」

 ―防災庁の誘致に向けた動きが出ている。

 「防災庁がどういった施策を行うのか、防災庁の地方分局の機能などを見た上で県としての方向性を考えていきたい」