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【除染土の行方 中間貯蔵施設版搬入10年】㊥ 理解醸成 全国的に広まらず 「省庁間知見共有を」 福島県

2025.03.14 11:03
15日に開所する中間貯蔵事業情報センター。中間貯蔵施設の視察を疑似体験できるシアターを備える

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌を一時保管している中間貯蔵施設(福島県の大熊、双葉町)が、壁一面に映し出されていた。

 7日に開かれた大熊町の中間貯蔵事業情報センターの内覧会。環境省が除染土壌の再生利用や県外処分の理解醸成を図るため、中間貯蔵施設の視察を疑似体験できる施設を設置した。

 「センターに多くの見学者を呼び込み、県外最終処分の実現につなげる」。環境省の委託を受けて運営する中間貯蔵・環境安全事業株式会社の地域連携・広報課長の安納(あんのう)康栄は15日の開所に向け、力を込めた。

 ただ、道のりは険しい。環境省が今年度に実施したアンケートでは、除染土壌の再生利用を「安全ではない」と考える県外の人は約30%で、15%だった「安全と思う」のほぼ倍に上った。「どちらともいえない」「分からない」は計50%超。理解醸成が全国的に広がっていない実態が浮かび上がる。


 中間貯蔵・環境安全事業株式会社法は、2045年3月までに中間貯蔵施設の除染土壌を県外で最終処分すると定めている。

 環境省はこれまで、対話フォーラムや飯舘村長泥地区での除染土壌実証事業視察会を開き、放射性物質濃度1キロ当たり5千ベクレル以下の除染土壌の安全性を説明してきた。2017(平成29)年には、環境問題の合意形成や公衆衛生などの専門家を交えたチームを組織。情報発信の在り方を吟味してきた。

 しかし県外最終処分に関する県外の認知度は、毎年20%前後で推移。さらなる取り組みの強化が求められている。環境省の担当者は「一定の前進は見られるが、まだまだ理解は広がっていない」としている。特に20~30代で認知されていない。新年度には、全国の教育関係者らを理解醸成を進める重点対象として、若者への働きかけを強める。