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【平成議員交流会】若々しい行動力に注目(6月5日)

2025.06.05 09:08

 平成生まれの衆院議員による超党派平成議員交流会が今国会で結成された。立憲民主党の馬場雄基氏(比例東北)と自民党の土田慎氏(東京13区)が呼びかけ人になり、自民、立憲民主、国民民主各党所属の11人で構成する。旧来国会に新風を興す当選1~2回の若手世代の発想と行動力に注目したい。

 既成政党の存在意義が問われる選挙が続いている。若年層の政治や選挙離れも叫ばれて久しい中、議員交流会は政党の枠を超え、同世代の無党派層にも届く政治、政策の具現化を目指している。月1回程度の会合で各省庁や経済団体、若手起業家らと懇談したりしながら課題を見いだしていくとしている。

 衆院議員465人のうち、20~30代の平成組が議員交流会の11人のみという現状はいかにも寂しい。残る議員はいずれも昭和生まれで、重鎮、中堅としての含蓄や経験知はあるには違いない。それでも、平成世代の層の薄さは、若年層と国会の昨今の距離感を象徴しているようで望ましくは見えない。

 思い返せば、異次元の少子化対策は平成、令和に始まる現役、将来世代が主要な当事者と言える。年金制度改革は次世代の生涯設計に関わる中長期的な課題に他ならない。にもかかわらず、新世代が極少数派の議員構成の下で結婚、出産、子育ての選択に迷ったり、年金の行方を不安がったりする声はこの先、どこまで吸い上げられていくだろう。国債残高が2024(令和6)年度末で1182兆円超に達する財政運営には、後継世代への多大なつけ回しをいとわぬ旧来政治の無責任さを感じてならない。

 議員交流会が扱う議題は今後固めていくとしているが、平成世代の当事者であり、将来世代の代弁者として、若者が政治への関心を高め、主体的に参加できる環境づくりの推進力になればいい。被選挙権年齢の引き下げだけでなく、政治資金の相続・贈与問題や世襲など難題は少なくないが、旧弊があれば踏み込んでこそ、新世代組織の国会での存在価値がある。

 参院議員には平成生まれが一人もいない。今夏の通常選挙で誕生するかどうかを注視しつつ、平成議員の広がりと岩盤課題の突破力に重ねて期待したい。(五十嵐稔)