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世界で需要急増特殊ガラス 福島に製造工場増築 日東紡、2027年稼働目指す 100人超の雇用増へ

2025.08.30 09:20

 日東紡(本店・福島市)は、福島市佐倉下の佐倉西工業団地に新工場棟を整備する。稼働中の福島第2工場を増築する形で、2026(令和8)年12月の竣[しゅん]工[こう]予定。人工知能(AI)サーバーの世界的な市場拡大で需要が急増しているスペシャルガラス「Tガラスクロス」を製造する。関係者によると、新規雇用を含め100人超の人員を増員する計画。就労の場確保と県都の経済活性化への寄与が期待される。

 同社が29日、発表した。福島第2工場の空き地や駐車場を活用する。鉄骨2階建てで、延べ床面積は約1万7200平方メートル。約150億円を投じる。国から最大約24億円の助成を受ける予定で、県のふくしま産業活性化企業立地促進補助金を活用する。着工は今年10月の予定。2027年1~3月の生産開始を目指す。

 製造する「Tガラスクロス」は最先端の半導体パッケージ基板に不可欠な素材。熱膨張しにくく、反りに強い特性があり、AIサーバーの高性能化に伴い需要が急速に伸びている。日東紡は福島第2工場のみで製造しており、新工場棟を設けて受注に対応する。最大で現在の3倍程度の生産が可能になる。稼働に際し福島第2工場の従業員を約20%増員するという。

 日東紡は2025年3月期の連結売上高が前年比16・9%増の1090億3500万円になった。スペシャルガラスの販売が好調に推移したのが要因となった。


■「活性化つながる」 福島商議所の渡辺会頭

 県都・福島市では昨年5月、イトーヨーカドー福島店が閉店した。今年5月にはパナソニックホールディングス傘下のパナソニックコネクト福島工場が閉鎖するなどした影響で多くの雇用が失われた。若者の地元定着が喫緊の課題となっており、福島商工会議所の渡辺博美会頭は「若い人をはじめ多くの雇用が増えると期待され、福島の活性化につながるもので大変喜ばしい」と歓迎した。その上で「地域に根付くよう、会議所として支援していく」と約束した。

※日東紡 1923(大正12)年創立。1938(昭和13)年に世界で初めてグラスファイバー(ガラス繊維)の工業化に成功した。電子材料、メディカルなど五つの事業本部で開発、製造、販売に取り組んでいる。福島市に本店、福島事業センター、郡山市に富久山事業センター、東京都に本部を置く。資本金は196億円。東証プライム上場。3月末現在の従業員数は連結で2745人、単体で825人。