福島県いわき市小名浜のアクアマリンふくしまは、東京大大学院理学系研究科付属臨海実験所との共同研究で、館内で展示中の珍種「コトクラゲ」が持つ運動器官「櫛板」が消失する過程を明らかにしたと発表した。日本動物学会の英文誌に論文が掲載された。
クシヒラムシ目に属するコトクラゲは、ゼラチン質の体を持ち、毒針を持たず岩などに付着して生活する有櫛動物。櫛板は繊毛の束で、遊泳する際に利用する。幼生期にみられ、成体になると機能は失われる。
今回、ふ化後の幼生を観察するなどした結果、ふ化から約40日後に櫛板が成長を止め、岩などに付着する前の約60日後に消失することが分かった。
研究は2020(令和2)年から実施してきた。同館によると、コトクラゲを含むクシヒラムシ目は国内に12種類いるという。コトクラゲは大きい個体で15~16センチに成長し、一対の触手で動物プランクトンなどを捕食する。沖縄県から東京湾周辺の太平洋側に生息が確認されているが、近年では日本海でも発見されている。
研究に参加した同館の山内信弥さんは「新たな発見ができたことはうれしく思う。改めてコトクラゲに興味、関心を持ってほしい」と語った。