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複雑な旬(9月26日)

2025.09.26 09:09

 魚には旬がある。冷凍の発達で忘れられがちだが。カレイ類は秋から冬にかけてうまみが増す。煮付けは熱かんのお伴。キンキは冬場から春先にかけて。冷水を生き抜くため、身にたっぷり脂を蓄えるのだろう▼相馬市の「浜の駅松川浦」の駅長は頭を悩ませる。「常磐もの」の魅力を網羅する「そうま おさかな マガジン」を4年前から不定期で発行し、魚種ごとの旬をカレンダー形式で紹介している。ここ最近は漁期が大きく変わっているケースがあり、編集作業は一苦労だとか。海の変化を敏感に感じ取っている▼松川浦漁港は今、スルメイカの大漁に沸く。不漁が続いていただけに、関係者に笑顔が広がる。「こんな光景は見たことがない」。肉厚の身は煮てよし、焼いてよし。食べ応え満点だ。全国的にサンマの豊漁が続く。かつての小ぶりで高値がうそのよう。店内で堂々たる銀の輝きがひときわ目を引く。味覚の秋到来に腹が鳴る▼うれしい異変の原因に、相馬の漁師は心当たりがある。潮流の変化だ。かたや、トラフグの水揚げが増えているのは、水温上昇のためとみている。地球の体調不良と勘繰れば、今宵、楽しむ「あて」の腸[わた]はさらに、ほろ苦い。<2025・9・26>