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誤嚥と御縁(9月24日)

2025.09.24 09:29

 食事中にむせる。せき込む。声がかすれる。季節の変わり目に風邪をひいたかと思いきや、どうやら喉の老化の始まりらしい▼福島市の呼吸器内科医によると、喉の筋力は40代から衰え始め、加齢と共に飲み込む力が徐々に弱まる。咳[せき]をし、むせるのは、食べ物や唾液が食道ではなく気道に入ってしまう「誤[ご]嚥[えん]」が原因。誤って入ってきたものを反射的に吐き出そうとするから、さまざまな反応が起きる。口や喉の細菌も一緒に肺に入っておきる誤嚥性肺炎は、高齢なほど命が危うくなる▼公衆の面前で、我慢するほど盛大にせき込んでしまう。マスクやハンカチを持ち合わせていない時に限ってだ。電車や映画館、飲食店で肩身の狭い思いをし、トラブルになるケースもある。口元を手で覆わない、マスクをしない迷惑行為は「咳ハラスメント」。感染症の全盛期を思い起こせば、ご法度に違いない▼逆の「咳ハラ」もある。せき込む人に過剰に反応し不快感を示したり、わざと大きな咳払いで威圧したり…。ちょっと待って。「この人は感染症ではなく誤嚥で苦しんでいるのかも」。そんな思いやりがあれば。隣り合わせたのも何かの御縁。「誤解」も吐き出して。<2025・9・24>