▽決勝 聖光学院7-0日大東北
【評】聖光学院が中盤以降、着実に加点して日大東北に快勝した。四回1死二塁、栗原の左前打で先制。その後も先崎が2点左前打を放ち、一挙3点を奪った。投げては星、堀越、古谷野が零封リレー。日大東北は得点圏に走者を進めたが、あと一本が出なかった。
5連覇を果たした聖光学院は、11安打7得点の打撃に加え、無失策の上での完封と攻守両面で王者の貫禄を示した。「県内常勝」の期待と注目の重圧を乗り越えて栄冠を勝ち取ったナインは「優勝できて良かった」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
互いに無得点の均衡を破ったのは四回裏の攻撃だ。先制した後も勢いに乗り、2死二、三塁から7番先崎響が左翼に2点適時打を放ってリードを広げた。「公式戦初先発の星(湊太)を援護したかった。点が取れて良かった」と内角の直球をしっかり捉えた一打を振り返った。
先崎や先発の星をはじめ、多くの選手が高校での公式戦未経験で新チームが始動した。「チーム力で戦う」を目標に掲げ、徹底したのは打撃、走塁、守備の基礎からの練習だ。堅実な野球を貫いた結果が、今大会の29得点4失点、失策0の盤石ぶりを支えた。斎藤智也監督は「多くの選手を起用し、経験を積むことができた」と大会を通した、さらなる総合力の向上に納得の表情だ。
喜びもつかの間、強豪ぞろいの東北大会に向けて選手は気持ちを切り替えた。「さらにチーム力を上げないと接戦で勝てない。短い期間で体力面や精神面を鍛え直したい」と先崎。見据えるのは東北大会連覇だ。
■日大東北エース 直球に自信得る
7年ぶりの決勝に臨むなど新チームになって勢いに乗る日大東北だったが、王者聖光学院の牙城は崩せなかった。先発し、8回104球を投げた左腕の主戦八巻悠隼(ゆうと)は「チームを勝利に導けなかった。悔しい」と唇をかんだ。
序盤から直球を中心にカーブとスライダーを織り交ぜ、三回まで無得点に抑えた。0―0で迎えた四回、カウントを取りにいった変化球を捉えられるなど、3点を失った。六、七回にも2点ずつ奪われ突き放された。「逆境で踏ん張ってこそエース」と自らを鼓舞。八回は自己最速となる133キロの直球をインコースに投げ込み、見逃し三振を奪った。「自信につながる一球だった」と振り返った。
コールド負けした秋の支部大会の登板を機に、走り込みやスクワットを繰り返し、下半身強化に力を入れた。努力の末に習得した右打者の内角に突き刺さる直球は終盤に威力を発揮した。
悔しさの中にも成長という光を感じた背番号1は「東北大会では一戦必勝で、センバツ出場を必ずつかみ取る」と前を向いた。