福島民報社は福島テレビと共同で県民世論調査(第50回)を実施した。東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌の県外最終処分に向けた政府のロードマップ(工程表)について尋ねたところ、内容を「評価する」は30・1%、「評価しない」は29・4%で、意見が割れた。2045年3月までの県外最終処分に向け国に求める取り組みの設問では「放射性物質濃度が低い土壌の再利用に関する理解醸成の強化」が25・8%で最多となり、国の発信力が問われる結果となった。
除染土壌の県外最終処分に向けた工程表の評価に関する回答は【グラフ(1)】の通り。「どちらとも言えない」も33・2%と高く、内容を国民に分かりやすく伝える努力も国に求められていることが浮き彫りになった。
「評価しない」と回答した人に理由を聞くと、「国の具体的な取り組みが見えないから」が41・3%で最多。「そもそも県外で受け入れてもらえるとは思えないから」23・6%、「工程表の内容が具体的でないから」18・8%、「国民の理解醸成が進んでいないから」11・1%と続いた。
工程表は、2030年ごろに最終処分場の候補地選定・調査を開始し、2035年をめどに候補地を決定するとの目安を示している。県外最終処分の実現に向け、国にどのような取り組みを求めるかの回答は【グラフ(2)】の通り。「放射性物質濃度が低い土壌の再利用に関する理解醸成の強化」25・8%に続き、「放射性物質をさらに土壌から分離するための技術開発の継続」25・1%、「除染土壌を県外に搬出する必要性の広報・発信の強化」15・8%、「最終処分を受け入れる自治体向けの支援制度の整備」10・7%となった。
除染土壌を巡っては、首相官邸や中央官庁での再生利用が始まっている。環境省は除染土壌のうち、再生利用できる土壌の呼称を「復興再生土」と決めた。
内堀雅雄知事は8月末、政府が公表した工程表について「候補地選定後の最終処分場の用地取得、建設、運搬等について具体的なプロセスやスケジュールが明確に示されていない」と指摘。「中間貯蔵施設の立地町をはじめ、県民が県外最終処分実現の見通しを実感できない状況にある」とし、県外最終処分に向けた具体的な工程の提示を求めている。