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企業、研究機関と連携鍵 実証試験場の整備必要

 政府は東京電力福島第一原発の廃炉作業に不可欠なロボット技術開発を浜通りの産業の柱に育てようと動きだした。ロボット産業の世界最先端地域を目指す「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の全体像を6月までにまとめる。構想策定に先立ち、赤羽一嘉経済産業副大臣を団長とした政府視察団は12日から19日まで米国の先進地を視察した。現地の取り組みを紹介し、本県での実現に向けた課題などを探る。(本社報道部・丹治 隆)
 福島第一原発の廃炉作業のため、政府などは遠隔操作ロボットの開発を進めている。新たな技術は災害対応、除染、介護、やがては宇宙開発に応用される可能性もある。
 ロボット技術の開発や転用には、研究者がテスト試技を繰り返す施設が必要で、福島・国際研究産業都市構想では実証試験場「福島ロボットテストフィールド」の整備が柱の1つとなる。
 視察団は15日、参考モデルとしてテキサス州のテキサスA&M大が所有する災害訓練施設「ディザスターシティ」を訪れた。平成7年にオクラホマ州で起きたオクラホマシティ連邦政府ビル爆破事件を教訓に、さまざまな都市災害やテロの救助訓練に対応するため設けられた。
 1・2平方キロの広大な敷地には鉄道事故や工場の爆発、タンクからの化学物質漏れ、崩落した橋の下敷きにされたスクールバス、同時多発テロの後に造られた倒壊ビルなどの実物大模型が配置されている。本番さながらにロボットの操作訓練ができる。千葉工業大が中心となって開発し、福島第一原発の建屋内部探査などで活躍した災害対応ロボット「Quince(クインス)」も、この地で実証試験を繰り返した。
 米政府は試験場建設に総事業費約800万ドル(約8億円)を投じた。現在、施設は州政府の機関の一部に位置付けられている。運営費用予算の大半はスポンサーが負担している。地元州の支出はゼロだ。
 政府視察団の1人は「浜通りに設置する場合、初期投資は政府の予算を充てる。米国流を導入しようとすれば、運転資金を継続的に集める仕組みをつくれるかどうかが課題になりそうだ」と話す。施設を円滑に稼働させるためには資金力のある民間企業との連携や研究機関の誘致が鍵を握るとみる。
 視察先の試験場は研究者向け施設として整備された。近年、需要が増えているロボットを操作する技能者らの訓練には対応していない。ディザスターシティでトレーニング・コーディネーターを務めるクリント・アーネットさんは「技能者の需要は今後1~2年で爆発的に増えるだろう」と話し、他の施設との連携などを模索している。
 本県の試験場は、研究者と技能者がともに訓練できる機能を持たせる方向で検討されている。視察団に参加した豊島厚二福島復興局次長は「福島で新たに試験場を整備する場合、互いの機能を補完し合うことも視野に入れたい」と協力関係の構築に意欲を示した。

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カテゴリー:廃炉先進地調査-浜通り再生へ

訓練用に再現された鉄道事故の現場=ディザスターシティ

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