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海底火山噴火「親族無事でいて」永田リセさん(トンガ出身いわき在住)不安募る

2022.01.19 12:03
トンガ出身でいわき市在住の永田リセさん

 南太平洋・トンガ沖の海底火山で大規模な噴火が発生したのを受け、トンガ出身でいわき市在住の永田リセさん(65)は不安で胸が張り裂けそうな日々を送る。電話やインターネットが遮断され、現地の親族や友人と連絡が取れない状況が続いている。「被害の全容が見えない。古里は大丈夫だろうか」。大切な人たちに無事でいてほしいと祈りを込める。

 トンガは約170の島から成り、リセさんは首都ヌクアロファがあるトンガタプ島から北に約300キロのババウ島の出身。青年海外協力隊でトンガに赴任した夫豊照さん(71)と結婚し、1977(昭和52)年に日本に移住した。東日本大震災後は、2015(平成27)年と2018年にいわき市で開かれた「太平洋・島サミット」の実行委員を務めるなど、復興の現状を国内外に発信してきた。

 リセさんによると、噴火前の15日午前、ババウ島に住むいとこからスマートフォンに着信があった。お互いの近況を話し合っていたところ、突然電話が切れた。すぐに折り返したものの、呼び出し音すら鳴らなかった。「電波が悪いのだろう」と諦めたが、午後になってトンガ沖で大規模な噴火が起きたと報道で知った。

 ババウ島には姉のメレ・エティモニさん(74)も住んでいるため、「みんな無事?」とメールを送った。だが、18日時点で返信はない。電話もつながらない状態が続いている。

 リセさんの頭をよぎるのは、震災の津波被害だ。日本在住のトンガ人と一緒にいわき市の避難所で炊き出しをしたり、沿岸部を案内したりする中で、津波がもたらした甚大な被害を目の当たりにしてきた。

 「あの津波の風景がトンガでも起きているのか-」。姉が住むババウ島には高台があるが、他の親族がいるトンガタプ島は土地が低く大きな堤防もないため、津波被害が大きくなるのではという懸念が拭えない。

 SNSなどで集めている情報はどれも断片的で、被害の全容を把握できない。毎日確認している現地メディアのサイトは、大規模噴火前日の14日に起きた噴火に関する15日午前の記事を最後に更新が途絶えている。

 水不足も気に掛かる。リセさんによると、トンガでは各家庭のタンクに雨水をためて生活用水に使っている。火山灰で雨水が汚染されれば飲料水などが足りなくなる恐れがある。2~3月の台風シーズンへの備えも必要になるという。

 現地の状況が分かれば日本のトンガ人コミュニティーなどに呼び掛けて支援策を練るつもりだ。「今は、とにかく無事でいてと祈ることしかできない。もどかしい」と苦しい胸の内を明かした。