環境省は5日、東京電力福島第1原発事故に伴う福島県内の除染で出た土壌の県外最終処分の理解醸成に向けたパネル討論を東京都内で開き、県外最終処分の必要性や再生利用の安全性を発信した。
首都圏を中心に約50人が参加した。長崎大原爆後障害医療研究所の高村昇教授、大熊町のキウイ生産会社「ReFruits(リフルーツ)」の原口拓也社長、環境省の中野哲哉参事官が登壇し、フリーアナウンサーの政井マヤさんが進行役を務めた。
「県外最終処分や再生利用は放射性物質の拡散になるのではないか」との8月に開催した福島会場で寄せられた質問に対し、中野参事官は「問題解決を福島だけに背負わせるのではなく、全国で負担するのが県外最終処分の考え方だ」と強調。再生利用の安全性に関しては首相官邸で再生利用した事例などに触れ、「空間放射線量は人への影響を無視できるほどの値だ」と説明した。
全国的な理解醸成に向け、高村教授は「自分事として考えていかなければならない」と語った。原口社長は「農業や食など、別の切り口から福島に興味を持ってもらい、県外最終処分への理解につなげることも必要だ」と指摘した。
環境省は6日も東京都内でパネル討論を開催する。