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政府の除染土福島県外最終処分工程表 具体的なプロセス、スケジュール 知事「明確に示されてない」

2025.08.27 10:41

 政府が26日に取りまとめた東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土壌の福島県外最終処分に向けた今後約5年間のロードマップ(工程表)に対し、内堀雅雄知事は「候補地選定後の最終処分場の用地取得、建設、運搬等について具体的なプロセスやスケジュールが明確に示されていない」と指摘した。「中間貯蔵施設の立地町をはじめ、県民が県外最終処分実現の見通しを実感できない状況にある」とし、県外最終処分に向けた2045年3月までの具体的な工程の速やかな提示を求めた。おおむね2035年をめどに県外最終処分場の候補地を決定すると明記されたことは「一定の前進」と受け止めた。

 中間貯蔵施設が立地する大熊、双葉両町長は一定の評価を示し、最終処分の実現に向けた具体的な取り組みを早期に打ち出すよう要望した。

 大熊町の吉田淳町長は「2035年をめどに最終処分場の仕様の具体化、候補地の選定をする目標が示されたことは評価する」とした。県外最終処分を実現するために残された時間は多くないとし、「より具体的にスピード感を持って事業が進められるよう強く要望する」と訴えた。

 双葉町の伊沢史朗町長は工程表がまとめられた点を「一定の前進」と捉えた。一方、最終処分地決定後の用地取得などについて具体的な時間軸が明記されておらず、「最終処分が本当に実現するのか危機感を拭えない」と吐露。今後20年間の具体的な道筋を早期に示す必要性を主張した。


■再利用の除染土、新たな呼称に

 工程表には、再生利用に使用する除染土壌に新たな呼称を定めるとの方針を盛り込んだ。

 除染土壌の再生利用については、国際原子力機関(IAEA)が「IAEAの安全基準に合致している」と評価している。政府は再生利用に使用できる土壌は「資源」だと強調し、住民の安心感や納得感につなげるために新たな呼称が必要だと判断した。環境省の新たな有識者会議で専門家から意見を聞く。

 除染土壌の呼称を巡っては、自民党の根本拓衆院議員(比例東北)が4月の衆院東日本大震災復興・防災・災害対策特別委員会で、リスクコミュニケーションの観点から再生利用する土壌と最終処分する土壌を区分するための呼称を検討すべきだと提案。与党が6月に政府に提出した第14次提言にも盛り込まれた。