東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から11日で11年となった。福島県民は早朝から海岸で鎮魂の祈りをささげるなど犠牲者を悼んだ。福島県主催の追悼復興祈念式は福島市のとうほう・みんなの文化センター(県文化センター)で行われ、岸田文雄首相が参列した。関係者は復興と、記憶と教訓の伝承を誓った。
政府主催の追悼式は震災10年目だった昨年で最後となり、11回目となった県主催の式典に首相が初めて出席した。岸田首相は追悼の言葉で「福島の本格的な復興・再生、東北の復興に全力を尽くす」と述べた。
内堀雅雄知事は式辞で「県民一人一人の挑戦が福島の希望となり、新たな未来を形づくると確信している。必ずや復興を成し遂げることを誓う」と決意を語った。渡辺義信県議会議長が追悼の辞を述べた。
義理の妹が津波の犠牲となった南相馬市の高田求幸(もとゆき)さん(83)が遺族代表の言葉を述べた。「災害時に家族が一緒とは限らない。常に防災意識を持って生活することが欠かせない」と呼び掛けた。
未来を担う若者による誓いの言葉が披露された。郡山市のあさか開成高2年の須藤聖菜(せいな)さん(17)は、震災と原発事故を伝えるため福島民報社が企画制作した絵本「きぼうのとり」が震災と向き合うきっかけだったと明かした。「高校生は震災の記憶がある最後の世代だからこそ、記憶と希望を未来につながなければならない」と語った。
献唱として、会津高合唱部の1、2年生25人が「あいたくて」と「夜明けから日暮れまで」を鎮魂と再生の祈りを込めて歌い上げた。
地震が起きた午後2時46分に黙とうし、岸田首相や内堀知事らが献花した。約220人が出席した。福島民報社から芳見弘一社長が列席した。
県内各地でも県民が犠牲者を悼む1日となった。壊滅的な被害があったいわき市の久之浜地区では新たに整備された防災緑地に住民が訪れ、地震発生時刻に合わせ海に向かって黙とうした。