福島県富岡町が町内本岡に整備したサケふ化施設で24日、新年度からの事業本格化に向け安全祈願祭が行われた。東日本大震災の津波で全壊した施設を再建し、新拠点で伝統のサケ漁再興を目指す。
ふ化施設は、震災前まであった富岡川の河口から上流部の浄水場の水源があった場所に移し、昨年秋、完成した。敷地面積約2200平方メートルに、約150万粒の卵をふ化させ、飼育できる稚魚育成池6槽、畜養池2槽、管理棟などを整備した。総事業費は約5億5000万円。
富岡川漁協は今年度、サケの採卵、ふ化事業を再開し、今月3日と19日に合わせて稚魚約20万6000匹を富岡川に放流した。新年度は50万匹の放流を目指す。
安全祈願祭では、漁協関係者、山本育男町長、高橋実町議会議長らが玉串をささげ、ふ化施設とやな場での事業の安全を祈願した。
猪狩弘道組合長は「施設を活用して、昔のように多くのサケが遡上(そじょう)する富岡川にする。町の復興に貢献していきたい」と語った。