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年輪を刻む(3月30日)

2022.03.30 09:05

 樹木は四季の寒暖差や降水量の違いなどの影響を受け、成長に伴い幹に堅さや色の変化が生まれる。一年周期でできるこの同心円状の模様を「年輪」と呼ぶ。「年輪を刻む」など、齢[よわい]を重ねて成長する様を表す例えに使われる▼年の刻み方は環境によってさまざまで、暦の一月~十二月はなじみ深い。「年度」は会計決算の締め日などで期間が異なり、多くの官公庁や企業は四月~翌年三月を用いる。欧米では九月スタートの学校が多く、国際化が進む中、日本でも学期の移行を巡る議論が続く▼穀物に関する年度もあり、米穀は十一月~翌年十月で、大豆は十月~翌年九月と収穫期にちなんでおり、酒造は七月~翌年六月だ。地域奉仕団体のロータリークラブやライオンズクラブは七月に始まる。四月の年度始めは、江戸時代までの年貢米での現物納付から、明治時代に現金で納める租税制度に切り替わって以降、定着したとされる▼年度末を迎え、県民も気ぜわしい日々を過ごす。若者は思い出の校舎を去り、新生活の準備を進める。人事異動のため引っ越し作業に追われる勤め人もいる。命の息吹を感じる季節。ぜひ新天地でも成長の証しを刻んでほしい。