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「世代交代進める」増子氏 「参院選福島県選挙区への立候補」を取りやめ 

2022.05.07 17:18
立候補を取りやめた理由を説明する増子氏

 6月22日公示、7月10日投開票が有力視される参院選の福島県選挙区(改選1議席)に無所属で立候補を表明していた現職増子輝彦氏(74)=3期=は6日、福島市で記者会見し、立候補を取りやめ今期限りで国政を退く考えを明らかにした。高齢を理由に挙げ「次の任期満了時には80歳を超える。世代交代を進めるにはここで退くべきだ」と述べた。今夏の参院選福島県選挙区で、特定の候補者を支援しない方針も示した。


■特定候補者支援せず

 増子氏は4月8日の立候補表明で「実現力を発揮し県民、国民のため全力で課題解決に取り組みたい」と4選に意欲を示していた。約1カ月後の方針転換となったことには「以前から年齢のことが引っかかっていた。自問自答し判断した」と説明した。

 7月25日の任期満了で国政を退いた後の活動については「政権交代可能な健全な保守中道による二大政党制政治の実現を進める」とし、「一市民として全力で頑張る」と述べた。昨年末に設立したシンクタンク「未来構想会議」で、放射性廃棄物の最終処分場設置、人口減少対策、社会保障など県内外の課題解決に向けた政策を立案し実現させたいとした。

 増子氏は郡山市出身、早大商学部卒。県議一期、衆院当選3回を経て2007(平成19)年の参院補選で初当選した。旧民主党政権で経済産業副大臣を務め、旧民主党副代表や旧民進党幹事長、旧国民民主党幹事長代行などを歴任した。

 改選議席が2から1に削減された2016年の参院選福島県選挙区で、当時所属していた民進党公認の野党統一候補として立候補し、当時法相の自民現職に勝利し3選を果たした。2020年9月の野党再編で新党に加わらず、無所属を選択。同年10月からは参院会派「自民党・国民の声」で活動し旧民主系勢力と距離を置いたのち、今年4月に同会派を退会していた。


■与野党対決 鮮明に

 参院選福島県選挙区は、4選を目指していた無所属の現職増子氏が立候補を取りやめたことで、自民党公認で県医師会副会長の新人星北斗氏(58)、事実上の野党統一候補でフリーアナウンサーの新人小野寺彰子氏(43)による「与党」対「野党」の構図が鮮明となった。与野党に入り組んだ増子氏の支持層をどう取り込むかが選挙戦の鍵を握るとみられ、前哨戦は激しさを増しそうだ。

 自民党県連の西山尚利幹事長は「(増子氏の決断は)若い人材に育ってほしいという親心のような思いではないか」と受け止めた上で、「増子氏が持っている保守層の票をしっかりと取り込んでいく」と強調した。

 連立政権を組む公明党の伊藤達也県本部幹事長は「与党対野党の構図で、有権者にとって選択がしやすくなったのではないか。政権与党である公明党にとっても、選挙戦で動きやすくなった」とみている。

 一方、小野寺氏は立憲民主党県連、国民民主党県連、社民党県連、県議会会派県民連合、連合福島で構成する五者協議会と政策協定を結んでいる。共産党県委員会も小野寺氏を支援する方向で調整している。

 小野寺氏の擁立を主導してきた立民県連の高橋秀樹幹事長は「(増子氏の票は)もともとは野党が持っていた票なので、しっかりと固めていきたい」として国民民主、社民も含めた支持基盤の再点検を急ぐ方針だ。

 共産党県委員会の町田和史委員長は「県民の暮らしと平和を守る勢力と、軍事一本やりの勢力のどちらを選ぶのか。市民と野党の共闘で何としても勝ちたい」と述べた。

 福島県選挙区では、NHK党公認で元山形県米沢市議の新人皆川真紀子氏(52)も立候補を予定している。


■立候補取りやめの増子氏 知事選「考えていない」


 今夏の参院選福島県選挙区(改選1議席)への立候補取りやめを6日に表明した現職増子輝彦氏(74)=無所属・3期=は、11月11日の任期満了に伴う知事選について、現時点で立候補する考えがないと強調した。記者会見での主なやりとりは次の通り。

 -政界を引退するのか。

 「基本的に国会議員、地方議員の議席は持たず、一市民として自分で作ったシンクタンクで課題解決に取り組む。政治の場からの引退と言うかはそれぞれの判断に任せる」

 -今秋の知事選に立候補する考えは。

 「今のところは全く考えていない」

 -立候補取りやめを決断したのはいつか。

 「2日前。後援会の役員に(判断を)一任してもらったのは1週間ほど前になる。関係者と意見交換を重ね、今後の日本や政治の在り方を原点に戻って検討し、最終的に自分で決断した」

 -シンクタンクで取り組むことは。

 「福島県の復興はまだまだ道半ば。復興と(東京電力福島第一原発)廃炉を両立していかなければならない。特に溶融核燃料(デブリ)などの最終処分場の設置が最大の課題だ。人口減少や社会保障、安全保障などもしっかりと議論し、方向性を打ち出したい」

 -県民に伝えたいことは。

 「約40年間にわたって支援してもらった県民に感謝したい。自問自答して出した結論だが、ふに落ちるか落ちないかは個人的な考えがあるだろう。説明責任を果たしていきたい」