28日に福島市のフォーラム福島で先行上映されるアニメ映画「とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―」の西沢昭男監督と、主要キャラクターの声を演じた福島県郡山市出身の俳優斉藤暁さんは27日、福島県庁を表敬訪問した。
永田嗣昭県文化スポーツ局長と川名義則県文化振興課長に対し、映画に込めたメッセージなどを語った。
映画は東京電力福島第一原発事故に伴う避難で離れ離れになった浪江町の犬と飼い主の実話を基にした物語で、6月3日に公開される。先行上映に先立ち、28日午後1時から、西沢監督と斉藤さんが舞台あいさつする。ワオ・コーポレーションの製作。福島民報社、光文社の協力。
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西沢昭男監督と斉藤暁さんは27日、福島民報社の取材に応じ、作品への思いや製作の裏話などを明かした。
―東日本大震災と原発事故がテーマとなる。
西沢昭男監督「阪神大震災で被災した経験があり、機会があれば福島の助けになりたいとずっと考えていた。自分が携わる最後の映画という気持ちで製作した」
―これまでアニメ映画やドキュメンタリー映画を作ってきた。
西沢昭男監督「実写と比べて古びにくい特徴がアニメにはある。いまだに避難者がいる中で、災害による影響をしっかりと伝えるため、長い時間をかけて試行錯誤した」
―6月3日に公開される。
西沢昭男監督「ゆくゆくは英語版の字幕を付け、世界でも公開したい。映画を通して被災地の課題について親子で話し合ってくれたらうれしい」
―浪江町から避難し愛犬と別れた飼い主の声を吹き込んだ。
斉藤暁さん「作品全編を福島弁で演じたのは初めての経験。自然体で気持ちよく臨むことができた。自分の中でも記念碑的な映画になった」
―震災と原発事故発生後の県内が舞台だ。
斉藤暁さん「震災後、出身地である福島がカタカナで表記され世界に知られてしまい、何もできない自分に無力さを感じていた。やっと何か一つ、古里のためにできたという気持ちだ」
―県民へメッセージを。
斉藤暁さん「登場する人々のせりふ一つ一つが重く響いてくる内容だ。ぜひ多くの県民に見てもらい、福島の現状を考えるきっかけにしてもらいたい」