6月3日公開のアニメ映画「とんがり頭のごん太―2つの名前を生きた福島被災犬の物語―」の先行上映会は28日、福島市のフォーラム福島で開かれた。上映に先立ち、西沢昭男監督(80)、主要キャラクターの声を演じた俳優斉藤暁さん(68)=郡山市出身=が舞台あいさつに臨み、映画の魅力を語った。
映画は東日本大震災と東京電力福島第一原発事故で離れ離れになった飼い主と犬の絆、動物保護ボランティアの無償の愛を描いている。阪神淡路大震災を経験したという西沢監督は「長年、震災をテーマにした映画を作りたいと思っていた。見た人が震災や原発事故について話をするきっかけになればうれしい」と述べた。飼い主の声を担当した斉藤さんは「被災犬や動物保護ボランティアの存在を初めて知った。国内だけでなく世界中の人に見てほしい」と期待した。
浪江青年会議所副理事長の小林直樹さん(39)が登壇し、「この映画を切り口にして震災や原発事故を後世に伝えていきたい」と抱負を語った。吉田数博浪江町長が「震災の記憶の風化防止につながってほしい」とのコメントを寄せた。
ワオ・コーポレーションの製作、福島民報社、光文社の協力。県、浪江町、双葉町、葛尾村などの後援。上映会には約60人が訪れた。