東京電力福島第一原発事故の避難者らが国と東電に損害賠償を求めた福島(生業=なりわい)、群馬、千葉、愛媛の4件の集団訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(菅野博之裁判長)は17日、規制権限を使わずに東電に津波の対策を指示しなかった国の対応は違法ではないとし、国の法的責任を認めなかった。同種の訴訟で初の統一判断となる。同種訴訟は全国に約30あり、総原告数は1万人を超える。判決が後続訴訟の行方を左右するのは必至で、被災者への賠償制度の在り方の議論に影響する可能性がある。
4訴訟は2013(平成25)年3月~2014年3月に各県の地裁に提訴され、原告数は約3700人。国の責任の有無については高裁段階で判断が分かれ、いずれも原告、被告双方が上告していた。
最高裁は判決に先行して3月、損害賠償額に関する双方の上告を退ける決定をし、東電の責任と約14億5000万円の賠償額を確定させた。双方の意見を聞く弁論を4~5月に開き、残る唯一の焦点となった国の責任の有無を審理していた。