福島県大熊町が大野小校舎を再利用して整備した起業支援施設「大熊インキュベーションセンター」は22日、開所した。起業家やベンチャー企業、町民らによる研究や開発の拠点として、被災地の新産業創出や交流人口拡大につなげる。
大野小は東京電力福島第一原発事故による帰還困難区域のうち、6月30日に避難指示が解除された特定復興再生拠点区域内にある。鉄筋コンクリート造り2階建ての南校舎の教室と図書館を修繕して活用した。総事業費は約8億7000万円。
町民らが自由に利用できる交流スペース、起業準備中の学生やクリエイターら向けのシェアオフィスやコワーキングスペース、町内や県内で事業に取り組む事業者が使える貸事務所を備える。教室をそのまま残した会議室や、体育館や運動場などもある。
開所式では、吉田淳町長が「センターが町の基幹産業創出の場として生まれ変わるとともに、卒業生や町民の皆さまが懐かしさを感じる場所としても歩んでいきたい」とあいさつした。関係者がテープカットし、開所を祝った。