東日本震災と東京電力福島第1原発事故発生の直後から福島県の復興に携わってきた元復興副大臣の浜田昌良さん(65)が双葉町に移住した。家族3人を横浜市に残し、8月に避難指示が解除された特定復興再生拠点区域(復興拠点)にあるJR双葉駅西側の駅西住宅で5日から暮らし始めた。「今度は町民として福島の復興に協力したい」と決意を抱く。
引っ越しから一夜が明けた6日午前。室内にはまだ段ボールが並ぶ。復興副大臣として復興拠点の認定に関わり、何度も町内を訪れたときとは違う町民としての新生活。既に県産の魚や野菜を自炊して食べ、福島の食の魅力を実感した。「これから地域の現状がさらに分かるはず。楽しみ」とほほ笑む。
大阪市出身。2004(平成16)年7月の参院選で初当選し、2012年12月から2年9カ月にわたり復興副大臣を務めた。2017年9月にも再起用され、さらに約2年間、福島県と深く関わった。県内には「千日以上、常駐していた」と振り返る。
7月に参院議員を引退し、今後の人生を考える中、福島県への思いが頭から離れなかった。「まちづくりが動き出した場所に身を置いて、福島の復興を見守りたい」。移住を決意し、避難指示が解除されて間もない双葉町を定住先に選んだ。
生活を始めた駅西住宅は現在も整備が続き、現時点で来年10月までに全86戸中、20戸超で移住者が暮らす予定だ。多くの人が町内に移り住むのを喜ぶ一方、溶けこめる環境が整っていない点を懸念する。地域コミュニティーはまだなく、町内唯一の診療所の開所は来年2月の予定だ。「ゆっくりでも良いから対応を考えてほしい」と国や県、町に求めている。
まちの再生や発展を願いながら毎日を過ごす。「住民と一緒になり、復興に協力できることは何でもする。各地から友人、知人を呼んで福島の良さを伝えていきたい」