福島県新地町の福田小の児童は2日、町内の磯山展望緑地にある同校のミカン畑で、ミカンを初めて収穫した。
ミカン畑は、東日本大震災の津波を受けたエリアに整備された防災緑地内にある。震災後、町内には和歌山、高知両県から支援物資としてミカンが届いた。学校側は「支援への感謝を忘れないように」と2018(平成30)年3月、県相双建設事務所と地元の「らちはまだいこんの会」の協力を受け、防災緑地の一角に、当時の全児童73人分に当たるミカンの苗木を植樹した。
植樹後は震災当時の磯山地区長で、らちはまだいこんの会の会長でもある三宅信幸さん(74)が苗木の成長を見守ってきた。児童も毎年3、4年生を中心に畑の除草などに取り組んだ。植樹から約4年9カ月を経たこの冬、ようやく今の全校児童62人に行き渡るだけのミカンが実った。今回、植樹当時1年生だった6年生13人が初収穫に臨んだ。
児童は三宅さんから実の取り方を教わった後、苗木に実ったオレンジ色の果実を1個ずつ丁寧に収穫した。斎藤海優(みゆ)さん(12)は「1年生の時に植えた木に大きなミカンが実ってうれしい。いい思い出になった」と喜んだ。
植樹当時に教頭として携わった佐々木芳三郎校長(57)も「防災緑地の畑に根付いた苗木から立派な果実が育ったことは、復興への希望にもつながる」と感慨深げに話した。