浪江町の体験型グローバル教育機関「Beyond Lab」の代表を務める野地雄太さん(27)は、中高生を対象に留学体験プログラムを展開している。実際に海外に行かなくても、地域で異国の文化に触れることができる。価値観を広げ、自分の人生を切り開くきっかけとなる体験を提供する。
浪江町で開かれた留学を体験するキャンプ「Beyond Camp」。中高生がハンガリーやシンガポールからの留学生とともに、英語を使ったレクリエーションを楽しむ。留学生の出身国の文化を学んだり、郷土料理を作ったりして交流を深める。
浪江、飯舘、楢葉の3町村でプログラムを企画してきた。中高生が留学生と少しずつ心の距離を縮める姿を見て「異文化に触れることで自身の価値観を広げる機会になる」と手応えを語る。
留学に関心を持ったのは福島高2年の冬。一人の中国人の高校生との出会いだった。英語力とコミュニケーション力に圧倒され、自分の力を高める必要性を感じた。3年の夏に長野県で開かれたサマーキャンプで外国人と交流し、留学への思いを強くした。
高校卒業後、米国ミネソタ大に留学し、多様な価値観を持つ人と出会った。帰国後、相馬市のイベント企画会社ミライクリエイツに就職。1年間働いた後、フェニックスプロジェクトに採択されたのを機に独立した。昨年2月に浪江町に移住し、活動の拠点を構えた。
浪江町を選んだのは、2017(平成29)年に町内で開催したスタディーツアーがきっかけだった。何度も足を運ぶうちに、復興に向かって町が変わっていく様子を目の当たりにした。「変化を起こせる場所だ」と確信した。
浜通りは今後、多様な人々が集まる場所になると信じる。「中高生が留学生と出会うことで異なる価値観を理解し、広い視野を持って道を開く。そのような仕組みを浪江から生み出したい」と言葉に力を込めた。
■HAMADOORI13メンバーの応援コメント 世界との架け橋になって 鳥藤本店社長 藤田大さん
留学体験プログラムを通し多くの若者が素晴らしい経験を重ねている。プログラムをきっかけに、本県の若者が成長し、世界との架け橋になってもらいたい。