X メニュー
福島のニュース
国内外のニュース
スポーツ
特集連載
あぶくま抄・論説
気象・防災
エンタメ

後継施設に内科など4診療科の設置検討 原発事故で休止中の福島県立大野病院

2023.02.10 10:18

 東京電力福島第1原発事故の影響で休止している県立大野病院(福島県大熊町)の後継病院について、福島県は双葉郡8町村の医療需要を踏まえ、内科(循環器科、消化器科、糖尿病科)、外科、整形外科、総合診療科の4診療科の設置を検討する。9日、県庁で開いた会議で示した。県は地元から要望がある人工透析治療はICT(情報通信技術)を活用した遠隔での対応も視野に具体化に向けた検討を進める。

 県は双葉郡の中核的病院に位置付ける後継病院の診療科や規模を検討するため、医療需要を分析した。各町村の想定人口と転入増を見据え、2035年ごろの郡内の人口を約3万8千人と仮定した。郡全体で1日当たりの外来患者を約2300人、住民の加齢に応じて2045年ごろの入院患者は1日当たり約500人と試算した。

 全国や県、双葉郡の病気やけがの傾向を踏まえ①がん(消化器系)②糖尿病などの内分泌系疾患③脳梗塞などの循環器系疾患④ぜんそくなどの呼吸器系疾患⑤脊椎障害などの筋骨格系疾患⑥けがなどの外傷―を主要な傷病とした。

 主要な傷病への対応と回復期の患者に在宅医療を提供するため内科や外科などを挙げた。

 郡内の医療機関にない産婦人科など6診療科、郡内にある眼科など4診療科、手術などの際に求められる麻酔科など2診療科は設置の有無を検討する。地元の意向をはじめ、人材確保の見通し、郡内に進出する民間の医療機関、隣接する相馬地方やいわき市の医療機関との連携による機能分担を踏まえ、実現の可能性を検討する。

 会議に出席した吉田淳大熊町長と双葉地方町村会長の遠藤智広野町長は人工透析治療を受けられる医療環境の整備が住民の帰還に不可欠と指摘した。議長を務めた井出孝利副知事が「医療人材が限られる中、遠隔診療システムも含めて検討したい」と述べた。

 会議は県や双葉地方町村会、双葉郡医師会、福島医大などで構成している。5月に次回会合を開き、診療科ごとの入院治療や外来診療、病床規模などを議論し、9月の基本構想案の策定を目指す。