◆当時古道小校長の根内喜代重さん 都路小(田村)の追悼集会で講話
福島県田村市都路町の元古道小校長根内喜代重さん(64)は8日、都路小の東日本大震災追悼集会で講話した。根内さんは学校が東京電力福島第1原発事故による避難から町に戻った時の校長だ。当時の子どもたちの頑張りや地域の支援を振り返り、「震災を乗り越えた先輩たちのように輝く毎日を送ってほしい」と児童に呼びかけた。
古道小は2014(平成26)年4月に町内で授業を再開。2017年、岩井沢小と統合し都路小になった。
根内さんは子どもたちの良さや可能性を引き出す教育に力を入れた。和太鼓演奏の復活や6次化商品であるキュウリジャムの開発など特色ある取り組みを進めた。子どもたちが生き生きと活動できたのは地域の支えがあったからと強調。中学、高校進学後の卒業生が活躍する姿も紹介した。
根内さんは「震災を乗り越えてきた人たちの思いや願いが伝わったでしょうか。都路をもっと好きになったでしょうか。誰もが伸びる力を持っています。これからもたくさん頑張ってください」と締めくくった。
41人の児童は真剣に聞き入った。児童代表の坪井瑠璃さん(6年)は「たくさんの人に支えられている。これからも頑張る気持ちを大切にします」と謝辞を述べた。
◆当時都路中教頭の坂口伸さん 校長務める高田中(会津美里)で特別授業
福島県会津美里町の高田中校長の坂口伸さん(59)は9日、東日本大震災の体験談を伝える特別授業を行った。
坂口さんは震災発生当時、田村市都路町の都路中教頭だった。原発事故の影響で同町は避難指示が出され、生徒や地域住民は避難を余儀なくされた。自身の経験を伝えようと授業で、震災の悲惨さや命を守ることの大切さを伝えている。
学校敷地内の陥没した道路や物で散乱する教室など当時撮った写真を見せた。マスクをして登校する生徒の写真を紹介し、「みんなは今、新型コロナウイルスの感染対策でマスクをしているけど、当時は原発事故による放射線の影響を考えてマスクをしていた」と説明した。
1年生約70人が授業を受けた。岩沢春希さん(13)は「入学式をした時と同じ中学校に何事もなく通えていることが当たり前ではないと思った」と感想を語った。