福島県浪江町は新年度、古里で活動を再開する大堀相馬焼の窯元を対象にした補助制度を創設する。東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、31日に避難指示が解除される町内の特定復興再生拠点区域(復興拠点)には、大堀相馬焼の窯元も含まれる。町は避難を余儀なくされた窯元が帰還しやすい環境を整え、町の伝統工芸を守り抜く考えだ。
10日、町への取材で分かった。伝統工芸に特化した補助制度は全国的にも珍しいという。町で再開する窯元に対し、上限200万円を補助する。工房の再建や窯の購入費用などに役立ててもらう。2023(令和5)年度一般会計当初予算案に関連予算を盛り込んだ。
町に居を構えていた24軒の窯元は原発事故により避難した。約半数が避難先で窯を再建し、残りは廃止や休止を余儀なくされた。
大堀相馬焼の拠点施設「陶芸の杜おおぼり」と大堀相馬焼の里は「文化的な価値のある施設」として復興拠点となっており、町が再開に向け整備を進めている。避難指示解除後、帰還を見据えている窯元が複数あるという。町産業振興課は「補助制度を設けることで、古里再開の呼び水にしたい」としている。
町が進めている陶芸の杜おおぼりの復旧工事は、今月末に完了する見通しとなった。町は避難指示解除後に施設を再開させる方針で、詳細な時期を検討している。資料館や陶芸のイベント会場などに活用していく考え。