福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)は科学技術分野などの研究で世界をリードする欧米の有識者4人を「国際アドバイザー」に委嘱する。いずれも国際機関や公的組織などで要職を務めてきた経歴を持つ。国際的知見から研究活動への助言を受けるとともに、有識者らの人脈を生かして国内外の優れた研究者を福島県内に呼び込み、エフレイが目指す「世界に冠たる創造的復興の中核拠点」の具体化につなげる。14日、発表した。
外部有識者によるアドバイザー体制の設置を明記したエフレイの基本構想に基づき、委嘱を決めた。理事長を中心としたマネジメント体制を支え、国際的なネットワークを構築し、国際連携や世界各国への情報発信を強化する狙いがある。
スヴァンテ・リンドクヴィスト氏(スウェーデン)は科学技術史学が専門で、日本とスウェーデンの学術交流にも長く貢献してきた。科学技術の目まぐるしい発展の経過を踏まえ、エフレイが担うべき役割などを助言する。
ライムント・ノイゲバウアー氏(ドイツ)は機械工学分野の研究を進めてきた。実用化研究を担うドイツの公的機関「フラウンホーファー研究機構」の理事長を務めており、研究成果の産業化に向けた豊富な知識を持つ。
フィオナ・レイモン氏(英国)は30年にわたって原子力分野の発展に貢献し、原子力災害関連にも造詣が深い。科学分野の多様性拡大も支援し、女性や障害者も原子力分野の研究に参画できる取り組みを先導してきた。
スブラ・スレッシュ氏(米国)は材料科学・工学、生物工学、健康科学技術などを専門とする。次代を担う科学者や工学者の育成に力を入れるとともに、基礎研究から産業化に至るまでの米国のイノベーション政策に関わってきた。
いずれも専門分野に限らず、広範な知識や経験を持ち、エフレイが掲げる①ロボット②農林水産業③エネルギー④放射線科学・創薬医療と放射線の産業利用⑤原子力災害に関するデータや知見の集積・発信―の重点5分野の発展に幅広く関わる。
エフレイは詳細な調整を進め、今年度内の委嘱を目指す。委嘱後は、当面、オンライン会議で4人から助言を受ける。将来的には、本施設を設ける浪江町などで実際の研究活動を視察してもらう。