X メニュー
福島のニュース
国内外のニュース
スポーツ
特集連載
あぶくま抄・論説
気象・防災
エンタメ

処理水海洋放出 風評防止対策徹底を 福島県市長会 東北総意、政府に要望へ

2023.04.19 09:15

 東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出の開始時期が迫る中、福島県市長会は処理水処分に伴う新たな風評を発生させないため、万全な対策の徹底を政府に改めて求める特別決議の内容を取りまとめた。5月11日に相馬市で開かれる東北市長会総会で審議した上で、東北6県77市の総意として採択し、政府に対策を要望する。県市長会が18日、福島市で開いた会議で決めた。


 東北市長会総会に提出する処理水に関する特別決議の要旨は下記の通り。「処理水が海洋放出されれば、水産業などへの風評被害の発生は必至」とした上で、透明性のある情報開示や正確な情報発信に取り組むとともに、国内外で風評被害が発生しないよう政府が責任を持って対策を講じるよう求める。

 東京電力福島第1原発事故の発生から12年が経過しても、県産農林水産物などへの風評は根強く残っている。現状を踏まえ、農林水産業や観光業、商工業など幅広い業種に対し、万全な風評対策を徹底的に講じる必要性を強調した。

 海洋放出で多大な影響を受ける可能性がある水産業などへの政府の財政支援のうち、施設整備や試食用食材の補助対象を拡大するよう求める。放出開始が春から夏ごろに見込まれるため、県産水産物などのPR事業に関しては補助金の交付決定前の段階で、速やかに事業展開に着手できるよう弾力的な運用も求める内容とした。

 新たな風評被害を発生させないため、各市などが取り組む対策に要する経費を東京電力の賠償対象とすることも要望する。

 全国市長会長を務める県市長会長の立谷秀清相馬市長は会議後の取材に「(処理水処分に対する)漁業者の懸念は根強い。政府は適時適切に万全の対策を講じるべきだ」と訴えた。


【東北市長会総会に提出する処理水に関する特別決議の要旨】

・厳格なモニタリングを行うなど万全な対応を行うとともに、全国的な視点に立って国民の理解が得られるよう誠実に対応すること

・新たな風評を発生させないという強い決意の下、行動計画に基づき政府一丸となって、正確な情報発信はもとより、厳しい環境に置かれている農林水産業や観光業、商工業をはじめ県内の幅広い業種に対して万全な風評対策を徹底的に講じること。

・新たな風評被害を最小にとどめるために実施するあらゆる風評対策に関する費用も賠償の対象とすること。

・処理水の処分で多大な影響を受ける水産業などの各種PR事業に対する財政支援の対象拡大や効果的な事業展開に向けた弾力的な運用を図ること。