東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出の開始時期が迫る中、東北市長会は11日、処理水処分に伴う新たな風評を発生させないため万全な対策を徹底するよう政府に改めて求める特別決議を満場一致で採択した。東北6県77市の総意として政府に対策を要望する。
処理水に関する特別決議の内容は、福島県市長会が取りまとめ、東北市長会が11日に福島県相馬市で開いた総会で決めた。「処理水が海洋放出されれば、水産業などへの風評被害の発生は必至で、甚大な影響が憂慮される」とし、透明性のある情報開示や正確な情報発信に取り組むこと、幅広い業種に対して万全な風評対策を徹底的に講じるよう求める。事務局によると、関係省庁への要望は6月上旬に実施予定という。
東北市長会長を務める木幡浩福島市長は総会後の取材に「東北一体で政府に意思を表明する。責任を持った誠実な対応を求めていきたい」と述べた。
総会では処理水に関する特別決議のほか、東日本大震災からの復興や新型コロナウイルス感染症対策など特別決議6件、各県の市長会が提出した議案30件を採択した。議事を前に会長の木幡市長と開催地の立谷秀清相馬市長があいさつ、内堀雅雄知事らが祝辞を述べた。