福島県大熊町と町農業委員会は12日、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、昨年6月に避難指示が解除された町内熊地区の特定復興再生拠点区域(復興拠点)で、食用が可能なコメの実証栽培を始めた。安全性を確認した上で、2025(令和7)年度の営農再開を目指す。
地区内の試験水田で避難指示解除後初めて田植えが行われた。町農業委員会などから約30人が参加し、コシヒカリの苗を手植えした。10月上旬ごろに収穫し、全量全袋検査で放射性セシウム濃度が国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)以下なら出荷・販売できる。
町農業委員会の根本友子会長は「イベントなどで収穫したコメを提供し、町民の皆さんにぜひ味わってもらいたい」と述べた。
町内の復興拠点では2020年からコメの試験栽培を実施し、放射性セシウム濃度が国の基準値を下回ったため、今年度から実証栽培に移行した。