X メニュー
福島のニュース
国内外のニュース
スポーツ
特集連載
あぶくま抄・論説
気象・防災
エンタメ

除染土の再生利用 安全性を評価へ IAEA、技術的課題も議論

2023.05.13 09:18
IAEAの取り組みを説明するクラーク氏(中央)

 東京電力福島第1原発事故に伴う除染で出た土の再生利用について、国際原子力機関(IAEA)の専門家チームは12日、東京都内で記者会見した。IAEA原子力安全局のアナ・クラーク廃棄物・環境安全課長が福島県飯舘村長泥行政区などでの環境省による実証事業の現場視察などを踏まえ、IAEAの安全基準を満たしているかどうかを詳細に検証するとの方針を示した。来年までにさらに2回の専門家会合を開き、報告書をまとめる。

 クラーク氏は「環境省の安全評価に関する包括的な取り組みを高く評価する」とした上で「IAEAの安全基準との整合性を専門家とともに評価する」と述べた。技術的な課題の議論も深めるとした。一方、「どのように国民の信頼を醸成してくかも課題だ」と指摘し、「実証事業は安全性を目に見える形で示し、実感してもらえる点で非常に意義がある」と評価した。

 IAEAは環境省の要請を受け、除染土の再生利用計画を評価・助言する専門家会合の初回を8~12日の日程で開催した。米国、英国、ベルギー、日本の専門家とIAEA職員の計9人が参加し、飯舘村長泥行政区の実証事業現場や中間貯蔵施設(大熊町・双葉町)を視察した他、地元住民と意見交換した。

 除染土は2045年3月までに、福島県外に搬出して最終処分すると法律で定めている。環境省は処分量を減らすため、放射性物質の濃度が比較的低い土を公共工事などで再利用する方針。県外では関東の同省関連施設3カ所で実証事業を計画しているが、周辺住民から反対の声が出ている。