NPO法人富岡町3・11を語る会は今夏にも、福島県内の高校生による「語り人(かたりべ)キャラバン隊」を結成する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生当時にまだ生まれていない小学生らを対象に、紙芝居や絵本の読み聞かせなどを通して分かりやすく伝える。
震災から3月で12年が過ぎた。高校生は震災発生時4~6歳ほどで、記憶が残る最後の世代とされる。活動を通して震災を学ぶとともに、当時を知らない世代に伝えてもらおうと企画した。
紙芝居は会員の実体験を基に制作された。原発事故によって避難した会員が、パトロール活動を通して古里復興の歩みを見守る物語となっている。柔らかなタッチの絵で、避難するまでの緊迫した状況や津波の爪痕などを描いている。
6月から郡山市と相双地区の高校生を対象に参加者を募る予定。生徒は会員から紙芝居を読むコツなどの研修を受ける。夏休みなどの長期休暇に、郡山、いわき、会津若松の各市など県内各地の学童や保育所を巡回する。
キャラバン隊を発案した青木淑子代表(75)は「小さな子どもたちに、震災後の景色や当時の人々の体験をつなぎたい」と意気込んでいる。