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処理水放出 改めて反対 全漁連、経産相に特別決議

2023.06.23 10:02
西村経産相に要望書を手渡す坂本会長(左から2人目)

 東京電力福島第1原発の放射性物質トリチウムを含む処理水の海洋放出を巡り、全国漁業協同組合連合会(全漁連)は22日、東京都内で総会を開き、放出に対して「反対であることはいささかも変わるものではない」とする特別決議を全会一致で承認した。全漁連の坂本雅信会長は同日、経済産業省で西村康稔経産相との会談に臨み、特別決議を盛り込んだ要望書を提出した上で、国の責任ある対応を求めた。

 会談は冒頭を除き非公開で行われた。坂本会長は冒頭あいさつで「処理水を流されることは死活問題。われわれの理解を得ない中での放出には依然として反対だ」と強調した。これに対し、西村経産相は「福島の復興を果たすには処理水の海洋放出は避けては通れない。漁業者と意思疎通を密にしながら信頼関係を深めていきたい」と述べた。

 特別決議は漁業者向けの500億円の基金創設や説明会の実施など国の対応を「重く受け止める」と一定の評価をした。ただ、「漁業者の将来にわたる不安を拭い去ることはできない」として「(国が)全責任を持って対処していくことを強く求める」と訴えた。

 政府は原発の放出設備工事や原子力規制委員会による使用前検査の完了、国際原子力機関(IAEA)の安全性に関する包括報告書の公表を踏まえて具体的な放出時期を判断する方針。会談後、坂本会長は放出された後の対応について「反対だからといって何か行動を起こせば、自分たちが風評を起こすことにもなりかねない。そこは慎重に考えていきたい」と語った。

 政府と東電は「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と福島県漁連と約束している。ただ、県内では漁業者を中心に反対の声が根強く、依然として理解醸成が課題となっている。