福島県双葉町のJR双葉駅前に15日、約13年ぶりに盆踊りの輪が広がった。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の発生による中断を経て復活した。帰還した住民らがやぐらを囲み、古里の一層の復興を願った。
町は昨年8月に特定復興再生拠点区域(復興拠点)の避難指示が解除され、現在、約80人が居住する。少しずつ帰還が進む中、住民同士の絆を強め、地域の活性化につなげようと、住民有志や移住者らが「未来双葉会」を組織し、古里での盆踊りを企画した。8月の旧盆は町民向けの盆踊りが避難先で催されるため、7月の新盆に合わせた。
双葉駅前にやぐらを設け、おはやしは未来双葉会や、町内の芸能保存会のメンバーが担当した。やぐらに上って代わる代わる演奏する「やぐらの共演」を繰り広げ、町民ら約300人が踊りを楽しんだ。
町に帰還した自営業三輪アナリサさん(56)は、震災と原発事故が起きるまで毎年のように双葉での盆踊りに参加していた。町民と久々に踊り、「大勢の人が双葉に集まってくれてうれしい」と笑顔を見せた。未来双葉会の木幡昌也会長(37)は「町民の笑顔が見られて本当に良かった。今後も続けて町を盛り上げていきたい」と決意した。
双葉町では「双葉盆唄」が歌い継がれ、盆踊りが夏の風物詩として親しまれてきた。震災と原発事故発生後は町民有志団体「夢ふたば人」が避難先のいわき市で伝統をつないでいる。