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エフレイ 米国立研究所と連携へ 人材交流体制構築など協議入り 復興相あすから訪米、親書伝達

2023.07.22 09:10

 福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)は、米国ワシントン州ハンフォード地域にあるパシフィック・ノースウエスト国立研究所と人材交流など連携体制の構築に向けた協議に入る。かつて放射性物質で汚染された地域を飛躍的に発展させた中核施設の知見を取り入れ、研究開発や産業化などの実効性を高めたい考えだ。渡辺博道復興相が23~27日の日程で訪米し、エフレイの山崎光悦理事長からの親書を研究所長に届ける。


 ハンフォード地域は1940年代以降、原子爆弾に使うプルトニウムを精製し、放射性物質に汚染された経緯がある。だが、地域内に拠点を置くパシフィック・ノースウエスト国立研究所を中心に研究開発や人材育成、産業化に取り組んだ結果、大学や企業などの集積が進み、全米で有数の成長を遂げた。日本政府はこの成功事例をモデルに浜通りでの国際教育研究拠点構想を練り、今年4月のエフレイ設立につなげた。

 多くの研究分野で業績を挙げているパシフィック・ノースウエスト国立研究所との連携は、エフレイにとってエネルギー分野をはじめとした研究開発の質を高めるとともに、地元の企業や教育機関などとの関係強化に向けた知見を得るなどの効果が見込まれる。今後、エフレイの施設整備が進み、各種の研究グループによる取り組みが本格化する中で、研究者の往来や共同作業が活発化する可能性がある。

 渡辺復興相は訪米で、研究所長との意見交換や研究施設内の視察に臨み、エフレイの施設整備の参考にする。地元企業との連携事例、地元経済への波及効果などにも理解を深める。渡辺復興相により山崎理事長からの親書が届けられた後、エフレイと研究所が連携体制の構築を見据え、具体的な協議を進めるもようだ。

 渡辺復興相は21日の記者会見で、「最新の取り組み状況を把握する。エフレイとパシフィック・ノースウエスト国立研究所との連携や交流に向けて仲介したい」と述べた。エフレイの担当者は「人材交流や研究開発のみならず、将来の地域発展に向けて幅広く情報交換できるよう関係を築きたい」と話している。


※パシフィック・ノースウエスト国立研究所 米国エネルギー省所管の研究機関で、米国ワシントン州ハンフォード地域に位置する。研究分野は再生可能エネルギー、地球環境、計算科学、生物など多岐にわたり、研究開発をはじめ、人材育成や産業化などにも取り組んでいる。研究者は5千人以上、年間予算規模は約1700億円に上る。地元の企業や教育機関などとも連携し、地域経済発展に貢献している。