東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの復興を進める被災地で、働きながら福島県の現状を知る「おてつたび」事業が楢葉町の宿泊施設で繰り広げられている。被災地の人手不足解消と関係人口拡大につながる取り組みとして、注目を集めている。
「おてつたび」は「お手伝い(仕事)」と「旅」を掛け合わせた造語。株式会社「おてつたび」が福島相双復興推進機構と連携し、原発事故で被災した12市町村で、首都圏で福島に関心のある人と人手不足の宿泊施設などを結び付ける。
楢葉町下繁岡の宿泊施設「蓬人館 楢葉別館」では16日から20日まで、神奈川県相模原市の松本大夢(ひろむ)さん(24)が働いている。松本さんはもともと旅行するのが好きで、震災と原発事故からの復興を進める楢葉町を自身の目で確かめたいと参加した。
客室のベッドメイキング、ごみ回収、トイレ掃除などを担っている。滞在中、町内の天神岬スポーツ公園に足を伸ばし、美しい景色を楽しむとともに、震災の被害への学びを深めている。「日常が戻ってきているように感じる」と受け止める。住民らの温かい人柄や豊かな自然に触れ、すっかり福島のファンだ。