環境省と福島県は27日、東京電力福島第1原発の処理水放出開始翌日に原発沖で採取した海水の放射性物質トリチウムの濃度は、いずれも検出限界値を下回ったと発表した。ともに人や環境への影響はないとしている。魚を対象とした水産庁の調査でも同様の結果が出ており、政府は、水産物の輸入を停止した中国などを念頭に引き続き安全性を強調する。
環境省は原発の約1キロ沖合にある処理水放水口近くの3地点や、放水トンネルから南北に3キロ地点などの計11カ所の海水を採取した。測定結果は、いずれも検出限界値(1リットル当たり7~8ベクレル)未満だった。うち3カ所ではセシウム137などの放射性物質も分析したが、検出されなかった。
西村明宏環境相は「風評を生じさせないため、客観性・透明性・信頼性の高いモニタリングを徹底していく」とコメントを出した。同省は当面の間、毎週分析し結果を公表する。より低い濃度まで検出できる「精密分析」(検出限界値0.1ベクレル程度)の結果は約2カ月後に公表する。
県は、原発から約5キロ以内の計9カ所で採水。測定結果は、いずれも検出限界値(1リットル当たり3.7~4.1ベクレル)未満だった。県はこれまで1カ月に1回程度実施していた海水分析の頻度を上げる方針。
水産庁は、原発沖で26日に採取したヒラメやホウボウのトリチウム濃度が検出限界値未満だったと公表した。