東北大は福島県浪江町に研究拠点を整備する。東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に関わる人材育成やまちづくりの推進などを図る。町内に立地する福島国際研究教育機構(F―REI、エフレイ)や国内外の大学、企業との産学官連携を見据え、福島・国際研究産業都市(イノベーションコースト)構想が進む浜通りの地域課題解決や活性化につなげる。早ければ3年後の完成を目指す。大学と町は22日、包括連携協定を結んだ。
大学は今後、拠点の整備場所や規模、機能などを町と検討していく。現時点で国内外の学生や研究者らが集い、研究を進める場所とするのを想定している。一定期間滞在し、浪江町を中心に、浜通りの復興や再生に向けた取り組みを考えて実行し、産業創出や帰還促進、生活環境向上などにもつなげたい考えだ。
町内にはエフレイの仮事務所があり、今後、本施設が立地する。研究の本格化が予想されるため、エフレイ研究者の利用も見込み、共同研究も構想として描く。詳細は今後詰めるが、100人超が集まって研究できる場を計画している。
締結式は町役場で行われ、吉田栄光町長と東北大グリーン未来創造機構の湯上浩雄機構長が協定書を交わした。吉田町長は「町から成果を発信し、広域的な連携につながることを期待している」と述べた。湯上機構長は「持続可能な新しい地域社会のモデルをつくっていく。『被災地の福島』ではなく、『世界最先端の福島』として世界に発信していくお手伝いをしたい」と決意した。