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処理水2回目放出開始 福島県「厳格な管理継続を」 東電、初回同量17日間で7800トン

2023.10.06 09:51
海底トンネルにつながる下流水槽に流れ込む希釈後の処理水=5日午前10時30分ごろ(東電提供)

 東京電力は5日午前10時18分、福島第1原発処理水の2回目の海洋放出を開始した。処理水に含まれる放射性物質トリチウムの濃度が基準値を下回ったと確認しており、初回と同量の約7800トンを17日間程度で放出する。県は今後の放出でトラブルが発生すれば新たな風評を招く恐れがあるとして、「人為的ミスが生じないよう厳格な管理を継続すべきだ」と求めた。東電は5日の記者会見で「計画通りに放出を完了できるように最大限の緊張感を持って取り組む」と強調した。

 東電は今回放出分の処理水のうち約1トンを約1200トンの海水で薄め、トリチウム濃度が国の基準の40分の1(1リットル当たり1500ベクレル)未満であることなどを4日に確認。5日朝に原発周辺の気象・海象に問題がないことを確かめ、予定通りに海洋放出を始めた。海水で希釈した処理水を海底トンネルを通じて原発の沖合約1キロで放出した。初日は容量約千トンの保管タンク1基の4分の1に相当する250トン程度を放出した。今後は1日当たり約460トンを放出する。順調に進めば23日に配管内に残った処理水をろ過水で押し流して一連の作業が完了する見込み。

 東電は放出期間中、海水に含まれるトリチウム濃度を測定・公表する。5日の放出開始後に原発から3キロ圏内の計10地点で海水を採取した。測定結果は処理水ポータルサイトで国内外に発信する。初回放出開始後、東電は環境省や水産庁、県の測定結果とともに一覧できるよう掲載方法を変えるなど分かりやすさを重視しながら対応している。

 東電は8月24日、地元漁業者らが反対姿勢を崩さない中で海洋放出に踏み切り、9月11日に初回分を終えた。設備などに大きなトラブルはないとしている。県漁連の野崎哲会長は5日、取材に「初回と同じように何事もなく進むことを願うばかりだ。国や東電にはより慎重に取り組んでもらいたい」と語った。

 原発構内には約134万トンの処理水がタンク約千基に保管されている。今年度は約30基に当たる約3万1200トンを4回に分けて海洋放出する。ただ、原子炉建屋への地下水流入などで処理水のもとになる汚染水は日々発生し、実際に減るのは約10基分にとどまる。

 県原子力安全対策課の担当者は「処理水が不適切に放出されることがないよう、気を抜かずに対応してほしい」と注文した。