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法定期限まで「たった22年」 除染土の福島県外最終処分で知事危機感

2023.10.11 09:06

 福島県の内堀雅雄知事は10日、福島市で開かれた内外情勢調査会福島支部10月例会で講演し、東京電力福島第1原発事故に伴う除染土壌の県外最終処分について「法律で定められた2045年まで、たった22年」と危機感を示した。会津地方の7市町村を除く県内52市町村の除染土壌が中間貯蔵施設(大熊町・双葉町)に搬入されたにも関わらず、県内外で記憶の風化が進んでいないかと呼びかけ、「この期限までに政府が履行できるまで福島県民は絶対に忘れてはならない。風化させてはならない」と語った。

 中間貯蔵施設に搬入された除染土壌は2045年3月12日までに県外で最終処分すると法律で定められている。国による最終処分地の選定、施設建設などに要する時間を考慮し、内堀氏は「たった22年」と表現した。環境省から最終処分地選定の具体的な方針やスケジュールが明示されていないことも背景にある。

 内堀氏は中間貯蔵施設の建設受け入れを「復興を前に進めるための苦渋の決断」と振り返った一方、湯川村や東京都渋谷区の面積と同等の「巨大な迷惑施設」に変わりないとした。

 迷惑施設の必要性を理解しつつ、自宅裏には置かないでほしいという略語「NIMBY(ニンビー。ノット・イン・マイ・バックヤードの頭文字)」を紹介し、県内では中間貯蔵施設、処理水海洋放出、阿武隈川遊水池整備がNIMBYの「三つの葛藤」だとした。県民のジレンマを全国で共有してほしいと結んだ。