11月2日告示、12日投開票の福島県議選いわき市選挙区(定数10)で、自民党公認の現職坂本竜太郎氏(43)=2期=が25日、立候補の見送りを表明した。坂本氏から公認辞退の申し出を受け、自民県連が承認した。県庁で記者会見した坂本氏は国政進出を否定せず「熟慮を重ねたい」と述べた。県議選の告示が1週間後に迫る中、県内選挙区で最多の立候補予定者を抱える激戦区で、戦いの構図が変わるのは必至だ。次期衆院選を巡っては、浜通りの新4区を地盤とする元復興相の吉野正芳衆院議員(75)=当選8回=が今期限りでの政界引退を周辺に伝えたとされ、吉野氏の判断にも注目が集まりそうだ。
会見で公認辞退の理由を問われた坂本氏は「熟慮の結果」とした上で、「政治の世界から身を引くわけではなく、今後さらに熟慮を重ね、どのように貢献できるかを改めて模索したい」と説明した。次期衆院選への立候補の意思を問われると、「熟慮を重ねさせていただきたいという言葉に尽きる」と直接的な言及を避けながらも否定はせず、さらなる政治活動に強い意欲をにじませた。
立候補見送りの決断は24日夜から25日朝にかけ「自分一人で判断した」と明らかにし、自民党籍は維持する考えを強調した。2021(令和3)年10月から務める自民県連青年局長の職務を全うするとした。
坂本氏の不出馬を受け、自民県連がいわき市選挙区に擁立する公認候補は5人から4人に減る。記者会見に同席した西山尚利県連幹事長は坂本氏の後継を擁立するかどうかを問われ、現時点では決まっていないとした。
坂本氏はいわき市出身。磐城高、中央大法学部卒。いわき市議を経て2015(平成27)年の県議選で初当選し、現在2期目。経済産業副大臣などを歴任した元自民党衆院議員・故坂本剛二氏の長男。
■71人が立候補の見通し
県議選には坂本氏が立候補見送りを表明した25日現在で総定数58に対し、現職が1減の52人、新人17人、元職2人の計71人が立候補を予定している。立候補者が71人にとどまれば、過去最少だった前回2019年の75人を4人下回り、最少を更新する。全19選挙区のうち、前回と同数の10選挙区で実戦入りが濃厚となっている。
立候補予定者数が定数を上回っているのは福島市、会津若松市、郡山市、いわき市、須賀川市・岩瀬郡、二本松市、南会津郡、河沼郡、大沼郡、石川郡の10選挙区。残る9選挙区は定数と立候補予定者数が同数で、新たに立候補の動きがなければ無投票となる可能性が高い。