福島県浪江町の吉田栄光町長は6日、「復興再生計画」について、町内の全14行政区を対象に策定する考えを明らかにした。避難先から帰還意向を示したすべての住民の生活圏を含める方針。年内にも計画案を政府に申請し、2024(令和6)年度の除染開始を目指す。
計画は、東京電力福島第1原発事故に伴う帰還困難区域のうち、特定復興再生拠点区域(復興拠点)から外れた地域に特定帰還居住区域を設定するため、避難指示解除の範囲を定める。
町の約8割は帰還困難区域が残る。計画案が認定された場合、避難指示解除区域が拡大され、町の復興は新たなステージに入る。吉田町長は「(認定を受けた場合も)帰還困難区域は残るが、大きな前進になる」と意義を語った。
政府と町が実施した帰還意向調査では231世帯が帰還を希望した。町は計画案に希望者全員の宅地や農地などを盛り込み、「面的」な区域設定を目指す。
町は5日から、計画案に関する住民説明会を町内と二本松市で開いている。帰還意向調査に「保留」や「帰還意向なし」とした町民が今後、帰還の意思を示した場合も対象範囲として計画案に盛り込む考えだ。
計画案は県の了承を得た上で政府が認定し、国費で除染してインフラ整備を進める。放射線量の低下など環境が整い次第、避難指示を解除する。