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【県議選2023 10選挙区ルポ】熾烈極める一騎打ち 河沼郡(1)―2

2023.11.08 09:29

 (会津坂下町、湯川村、柳津町=有権者1万7712人)

 猪俣 明伸 39 立新 社民推薦 

 小林 昭一 71 自現(3) 公明推薦 

(届け出順、敬称略、□は推薦)


◇2019年県議選結果

河沼郡(定数(1)―1)無投票

小林 昭一 67 自現 (3)


 選挙戦が後半に入った7日、立憲民主党の新人猪俣と自民党の現職小林はともに郡内で選挙カーを走らせた。2011(平成23)年以来、12年ぶりの選挙戦で、一騎打ちは熾烈(しれつ)を極めている。出身地はともに会津坂下町。郡内の有権者の7割を占める大票田だ。

 「厳しい戦いであるのに変わりはないが、背中は見えてきた」。猪俣の選挙事務所に出入りする会津坂下町議の一人は、日に日に増す手応えを口にした。

 猪俣は大学進学で上京し、首都圏や海外で民間企業に勤務した。帰郷して日が浅く、政治経験や知名度は現職に及ばない。ただ、郡内でつじ立ちや座談会などを重ね、地道に「新顔」を売り込んできた。

 選対本部長の佐藤英は「(有権者の反応が)『若いあの人』から『猪俣候補』に変わってきた。知名度は相手が上回っているが、12年間無競争だったことで世代交代という雰囲気にもなりやすい」とみる。

 地盤の弱さや知名度の低さを補うため、立民衆院議員の小熊慎司が自身の後援会組織で足元を固め、連合福島や社民系が支援する。元参院議員の和田洋子もバックに付いた。猪俣自身と同じ子育て世代の票を見据えつつ、幅広い世代への食い込みを目指している。

 「培ってきた政治経験や人脈がある。すぐに有権者の役に立てる」。推薦状やため書きが壁を埋める小林の選挙事務所で、選対関係者の一人が強調した。

 新人が名乗りを上げた当初は楽観視する向きがあったが、自民県連は河沼郡を重点選挙区の一つに位置付けた。直近の衆院選、参院選で郡内の自民票がいずれも数百票ほど野党票を下回った結果などを踏まえた。

 小林の初当選時から選対本部長兼連合後援会長を務める渡部三郎は「12年間、選挙を経験していない。当初はやりづらさがあった」と認める一方、「組織が手薄になったということは決してない」と強調する。

 会津坂下町議時代から小林の政治経験は約25年に及び、現在は自民県連総務会長の要職にある。後援会組織をフル稼働させ、自民衆院議員の菅家一郎の支援も受ける。農商工団体などの票固めを進めつつ、SNSを活用し新たな支持層の取り込みにも注力している。

(文中敬称略)