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放射性物質濃度を踏まえた対応求める 福島第1原発廃液飛散問題で識者 福島県廃炉安全監視協議会

2023.11.18 09:11

 福島県や東京電力福島第1原発立地町、有識者らで構成する県廃炉安全監視協議会は17日、県庁で会合を開き、福島第1原発の多核種除去設備(ALPS)の配管洗浄中に協力企業作業員が放射性物質を含んだ廃液を浴びた問題などについて議論した。識者からは廃液の放射性物質濃度を踏まえた運用への見直しなど、安全確保の徹底を求める声が相次いだ。

 東電の担当者が、予定外の弁操作で水圧が急激に変化したことなどを原因とし、弁操作を禁止するなどの再発防止策を講じると説明した。作業員は配管にたまった炭酸塩を薬液で洗浄中に化学反応でガスが噴き出した反動でホースが外れ、廃液を浴びたとした。

 海洋生物環境研究所の原猛也フェロー(水産資源学)は「安全にやるには、もっと濃度の弱い薬液を使って時間をかけないといけない。より安全で安定的に運用できる方法に考え直すべきだ」と指摘。日本原子力研究開発機構福島研究開発拠点の百瀬琢麿所長代理(放射線防護)は「そもそも廃液の濃度は人が扱えるレベルだったのか。濃度に応じた対応を早く考えてもらいたい」と訴えた。

 東電の小野明副社長・福島第1廃炉推進カンパニー最高責任者は「安全なシステムを作り込むことにトライしていくが、まずは人が担う作業の中で安全を確保するしかない。東電としてこれまで以上に元請け企業のやっていることを確認する」と述べた。

 渡辺仁県危機管理部長は「今回のトラブルを重く受け止め、対策強化の検討を含めて安全管理体制を構築するようお願いする」と東電に求めた。