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「力あふれる最高の県」 エランガーさん(スリランカ)最優秀 外国人対象「心のなかの福島」作文 復興へ歩む姿感動

2023.12.05 09:39
土屋復興相(前列中央)から表彰状を受けたエランガーさん(前列左から3人目)

 遠く離れた国々から福島県民への温かなメッセージがたくさん届いた。復興庁が外国人を対象に初めて実施した日本語作文コンクール「私の心のなかの福島」は870点を超える応募があり、スリランカの学生グナシンハ・ラクミニ・エランガーさん(23)が最優秀作品賞・復興大臣賞に輝いた。題名は「夢をくれた福島ありがとう!」。どんなに離れていても、いつも思っている―。エランガーさんはあふれる「ふくしま愛」を文章に込めた。

 エランガーさんは高校時代から日本語を学んでいる。昨年3月、青年海外協力隊としてスリランカで日本語を教えていた松山里美さん(福島県相馬市出身)との出会いをきっかけに、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故からの復興に歩む福島県に興味を持った。

 県国際交流協会の「オンライン日本語サロン」に参加し、世界中の参加者や県民と日本語で会話する中で、県民の優しさや県内の食べ物などの魅力を知った経験を作文につづった。復興に向けて努力と挑戦を続ける県民の姿に感動したことにも触れ、「福島の魅力をもっと知って世界の人にも伝えたい」と書いた。

 4日、東京都の復興庁で表彰式が行われた。出席するため来日したエランガーさんは土屋品子復興相から賞状を受け、「どんなに遠くにいても福島のことを温かく見守っている」とスピーチした。2、3の両日に福島県の被災地を見学しており、「いつか福島のために協力できるようになったら、また絶対福島に来る」とも述べた。

 動画投稿サイト「ユーチューブ」のライブ配信で今年の市町村対抗県縦断駅伝競走大会(ふくしま駅伝)を視聴したと明かし、「パワーをもらった」と声を弾ませた。


■31カ国・地域から878点

 作品は昨年7月から10月まで募集し、中国や台湾、メキシコ、スロバキアなど31カ国・地域から878点の応募があった。NPO法人日本語スピーチ協会の笈川幸司理事長、東日本大震災・原子力災害伝承館の高村昇館長、福島大国際交流センターのマクマイケル・ウィリアム副センター長らが審査員を務めた。

 表彰式には県から鈴木正晃副知事が出席した。


【夢をくれた福島ありがとう!】

 昨年三月二十六日に忘れられない出会いがありました。それは、福島県相馬市出身で青年海外協力隊としてスリランカで日本語を教えていた松山里美先生との出会いです。その日はスリランカでスピーチコンテストが開催されていて、私は参加者で先生は審査員をしていました。コンテストが終わってから、私は先生から十二年前の東日本大震災の話と今の福島の様子を聞きました。福島の話は心に響きました。これが私と福島の最初の出会いです。

 先生が日本に帰ってから、先生は福島県国際交流協会がやっている「オンライン日本語サロン」を紹介してくださいました。そこでは、福島県内だけでなく、世界中からたくさんの人が参加していて、日本語で楽しく話をすることができました。福島県民と話をしていて、県民の優しさも感じました。東日本大震災で自分が愛していた人を亡くしてしまったから、どんな人にも優しくできるのだと思いました。私が日本語を勉強している学生だと伝えると「日本語の勉強を頑張ってください。福島で待っています。いつか福島で会いましょう。」と背中を押してくれました。日本語サロンでは、福島県民の優しさも感じることができました。

 福島に住んでいる外国人からは、福島の良いところとおいしい食べ物についてたくさん教えてもらいました。例えば、福島は桃の生産量は全国二位で、世界にも桃を届けるために桃農家さんは、汗水を垂らして頑張っていること、自然が豊かな福島ではおいしい水とお米から日本一のお酒が造られていること、脂がのったおいしいお魚の話などです。そして、福島独特のあんぽ柿の話も聞きました。これはいつか絶対に味わってみたいです。福島のおいしい食べ物を世界に届けることで、東日本大震災から復興し、福島の元気が世界中に届いていることを知って、福島は全国四十七の都道府県の中で勇気とパワーがあふれる最高の県だということも理解できました。私はますます福島のことを知りたいと思うようになりました。

 福島のことが好きでたまらなくなった私は福島の生き生きとした様子を見たくなりました。すぐに福島に行くことはできないので、ユーチューブに福島のライブカメラがあるかどうか検索してみました。すると「ぐるっと福島ライブカメラ」があり、心から愛する福島の様子をいつでも好きなだけ見られるようになりました。私は本当に幸せです。

 八月は「ぐるっと福島テレビ」から福島市のわらじ祭りを見ました。みんなでいっしょに「わっしょい」と言いながら踊っていました。郡山市のうねめ祭りも盛り上がっていました。また、いわき市の夏祭りも色とりどりできれいで、福島県のそれぞれの地域の文化の豊かさをよく表していました。

 東日本大震災で、福島県は大変な苦労をしました。でも、福島県は絶対に負けないという気持ちで復興に向けて努力を重ね、挑戦することを止めませんでした。その結果、「一つ一つ実現する福島」という目標を達成しています。県民が頑張っている姿を見ると、私も本当に感動しました。福島のことを思うと胸がジーンと熱くなります。福島ならこれからももっと色々なことができると心から信じています。精一杯の愛で福島を応援しています。福島のことを一生、心から大切にしていきます。いつか福島に行って、福島のために協力できるように頑張ります。日本語能力をもっとみがいて、福島の魅力をもっと知って世界の人にも伝えていきたいです。

 私は福島に出会えて感謝感激です。大好きな福島、待っていてね。大好きな県民のみなさん、待っていてね。いつかネモトシャクナゲの花の香り、キビタキの歌声とケヤキの木陰を感じられる日まで。(原文のまま)


【写真】