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「赤本」(7月13日)

2024.07.13 08:50

 分厚いページをめくったのは、夏休みだったはず。大学の受験問題を掲載した「赤本」。希望校の難問に舌を巻き、受験を諦めた―。そんな苦い記憶をお持ちの方もおいでだろう▼70年の歴史を持つシリーズ本に異変が起きた。本紙が先日、報じている。赤を基本に太字で大学名。長年親しまれた表紙デザインだが、今どきの受験生には威圧感を与えるという。ソフトさを求める時代の空気の表れと言える。淡い緑が穏やかさを演出するスタイルに変更された。評判は上々のようだが、おじさん世代には、少し寂しい▼こちらの表紙の行方はさて…。自民党内で岸田文雄首相の退陣論が表面化し、日に日に高まりをみせている。通常国会を何とか乗り切ったものの、裏金問題への対応で生まれた党内のきしみは消えない。支持率の低迷が続く。次期衆院選の「顔」として、いかがなものか、の声も。党のデザイン刷新を問う総裁選は9月に迫る▼少子化、財政赤字、物価高と、政治の世界は難問が渦巻く。会津が生んだ伊東正義副総理の言を借りれば、本の表紙だけ変えて解決は望めるか。世論の採点が赤点続きなら、若い世代に受けの良い新風によろめいてしまうかも。<2024・7・13>