15年続くNHK・Eテレの10分間アニメ「はなかっぱ」に、「すぎるくん」が登場する。黄色い恐竜をイメージした、おとぼけ人気キャラだ。何にでも感動して「すごすぎる」「おいしすぎる」とすぎるを連発する▼その影響ではないだろうが、最近の若者の会話に、すぎるが頻繁に出てくる。「会いたすぎる」「撮りたすぎる」「見たすぎる」「かわいそうすぎる」「細そうすぎる」…。交流サイト(SNS)にも氾濫している。想定外とも言える使い方に、大人は「分からなすぎる」か▼20代の子どもを持つ知り合いが、半ばあきれたように話していた。わが子は何でも「やばい、やばい」。本来は江戸時代から使われる危ない、まずいを表す形容詞。遊び場の「矢場」が語源だともいう。危険香る場所とのニュアンスもあったか。いつの間にか、素晴らしい、おいしいの意味も併せ持つようになったようだ▼大型連休で帰省したお子さんが、聞き慣れぬ表現を持ち帰ってはいないか。語法は正しくあるべきだ。でも、少々の脱線を話題にだんらんが弾むのなら、これまたうれしい。そんな家族は「超やばすぎる」。この場合、最大級に素晴らしいとの意だろう。若者には言わずもがなだが。<2025・5・4>